コンテナ内陸デポ事業の仕事とは?

内陸コンテナデポを活用したコンテナラウンドユース 〜運送業界全体で環境問題に取り組む〜

はじめに
コンテナ内陸デポとは港から離れた内陸にある物流基地で、輸出入貨物の通関機能と保税機能を併せ持つのが特徴です。

利用者の一番のメリットは、デポを起点として、いろいろな輸送ルートを選択できるため、流通の効率化が図れることです。

Q. コンテナデポ事業とはどのような事業ですか?

A. 内陸デポは、それがメインとしてやっていますというものではなく、仕事に付随しているもので、内陸デポとはなんですかと言われても、話すのが難しいような気がします。

Q. では、コンテナ輸送事業で、デポがあるのとないのとでは何が違うのですか?

A. デポでコンテナを落とすことで、シャーシも少なく済むし、それによって人(=ドライバー)も少なくて済むのが一番大きいです。例えば、Aという仕事が終わってBの仕事に移行する時に、デポを活用すると、「落として・積んで・向かって」、また「落として・積んで・向かって」というのがスムーズに行くのが一番大きい(効果)かなと思います。

Q. 一旦デポにコンテナを置いておくことで、車両やドライバーに次の仕事をしてもらうことができるということですね

A. 次の仕事に移る中で、Cという仕事になるのか、Dという仕事になるのか、Eという仕事になるのか、(配車係が)その瞬間瞬間で考えることができます。「一回終わって台切って次の仕事」というよりは、その時々で考えられることが一番大きいと考えています。

Q.  会社のビジネスとしての利点はなんでしょうか?

A. やはり、柔軟な対応ができることだと思います。「これ持ってきて」や「この仕事したいんだけど大丈夫?」と(お客様や受注担当から)言われた時にすぐに対応できるのが、デポを使う利点ですね。台切っているとできないことも、(デポがあることで)「じゃあ次はBを載せようか、Cを載せようか」とすぐに対応できます。

Q. その時その時のお客様のご要望に柔軟に対応できるのは、満足度向上にもつながりますね!

A. それはあると思います。

デポ内で行っているトップリフターによるコンテナ積み下ろしの様子

Q. デポの稼働量はどれくらいですか?

A. 一日中稼働はしています。全ての(出したい)コンテナが手前にあるわけではなく、奥のコンテナを動かすという作業もあるので、トップリフターは非常に忙しい状況です。

Q. コンテナの「ラウンドユース」とはなんですか?

A. ラウンドユースは、基本的な流れとしては、デバンが終わったら(コンテナを)東京港に返すという流れです。基本的には空バンを返却するという流れなんですが、輸出を作ることができればそのまま輸出の荷物を積んで東京港に持っていくことができます。片道を作らない、片道で空で、下る・上るというのを作らないというのがラウンドユースです。

デポを利用することで、すぐに輸出者が見つからなくても、2・3日後でもその空コンテナを使うことができる。それが、ラウンドユースの中でもデポを使う利点だと思います。

Q. ラウンドユースが環境にやさしいというのはなぜですか?

A. 片道で帰るというのがなくなるので、そういった意味では環境問題には優しいのかなと思います。

Q. 郡司さんは富士陸送のデポにどのように関わってきたのでしょうか?

A. デポを作るというのを(入社時の)面接で聞いて、私は以前ターミナルで働いていたので、デポというのはいわば、小さなターミナルなんですよね。空もあれば輸出コンテナもあって実入りコンテナもあって。やはり20年近くターミナルで働いてきたので、同じような仕事ができれば自分の経験も活かせるだろうし、仕事していて楽しいだろうなと思って、富士陸送に入社を決めました。(デポを)立ち上げるというのは(入社の)きっかけですね。

Q. 実際にデポ事業に関わっていかがですか?

A. 思った通りというか、楽しく、自分の思い描いてるような感じでデポをやれているんじゃないかと思っています。ラウンドユースが他の輸出業者さんも含めて今動き始めて、それが形になってきているので、それが一番ですね。

Q. 「配車」についてはいかがでしょうか?

A. そうですね、配車は難しいです。10人いれば10人のやり方、100人いれば100人のやり方があると思います。なるべくみんなが、良い思いができるようにフラットに配車は組んでいます。でももっともっとうまくできるんじゃないかなというのはありますね。

Q. 富士陸送の職場の雰囲気はいかがですか?

A. そうですね、雰囲気はすごくいいです。事務担当もドライバーさんもみんな良い人ばかりで、それは本当にこの会社に入って良かったなと思う点ですね。皆さんは良い人ばかりなのですが、私自身は好戦的というか、どちらかというと攻めっ気が強い方なので(笑)、そこら辺は気をつけてやっています。自分が一番感情的になってはいけない立場なので。

Q. 富士陸送のデポの特色はどんなところですか?

A. なるべく柔軟な対応ができるようにしているというのが特色の一つだと思います。基本的にNG(=お客様のご要望に応えない)はないようにしているので。

Q. 社長の肝入りでIT活用を進めていると聞いています。デポでのIT活用について教えてください。

A. 乙仲さんとクラウド上で結びついてるというのが、一番のうちの(IT活用の)特色だと思うのですが、社員同士でも同じく繋がっていることも、特色だと思います。仕事を取る量にしても、みんな同じくつながっているので、誰かが仕事を取ったとしてもすぐに結果が(クラウド上に)反映され、みんなが同じ情報を抱えられます。

Q. 効果は上がっているのを感じますか?

A. はい、感じています。例えば違うところで仕事を入れても、すぐに情報が反映されるのと、電話をしながらでもコンピュータ上で確認できるので。

Q. 情報を共有している人は常時何人くらいなのですか?

A. 社内だと部門の人全員です。あとは、お客様の数名で、合わせて10名超です。毎日クラウド上で情報共有して、電話などで会話もしながら仕事を進めています。

Q. 東京都の革新的事業展開設備投資支援事業に採択されたシステムの一端を教えてください。

A. 事務所から「このコンテナを出すよ」といった指示を、(クラウド上のシステムで)色付けなりをして、トップリフターのオペレータと(車載のiPadを通じて)共有しているので、余計な無線を入れることなくすんなりと仕事ができているかなと思います。

Q. iPad上で、コンテナの配置場所を可視化して管理しているということですね。

A. そうですね。iPadを使って今、トップリフターのオペレータが(コンテナの配置場所を)見られるようになっているので、小さなターミナルとしての動きにはなっているかなと思います。

Q. デポの中で、奥の方に置いたコンテナを取り出すオペレーションは大変そうです。

A. 奥に置いたコンテナを取らざるを得ないという状況は多々あるんです。それは先ほどの話にも出たように、クラウド上で生産状況がわかるようになっており、もう一人のつくばのオペレータが、「そろそろこのコンテナ出るよ」と教えてくれるので、そこで前もって、ドライバーさんが到着する前にコンテナをきらったりする(=手前や上のコンテナを取り除く)ことができています。

そこが情報をクラウド上で共有できている強みでもあると思います。「そろそろこのコンテナ取りにくるよ」とかいうのがわかる。ドライバーさんを目の前にすると、(トップリフターのオペレータが)焦ってしまうことがあると思うが、前もっての情報を得られることで、コンテナを先にきらったりすることができる。余裕をもったオペレーションができていますね。

Q. トップリフターの操縦に関しても、 IT活用の効果が出ているということでしょうか。

A. 俯瞰的にものを見ることができれば、オペレータも余裕をもって運転できるのかなとは思います。コンテナの配置がわかると、危険予知の面でも、どういう形をしているのかわからないまま動くよりも全然良いと思います。

Q. トップリフターは燃料をたくさん必要とすると聞きました。

A. そうですね、2日に1回燃料を入れたりしています。(デポの面積が)狭いだけに、コンテナを動かす量が多いんです。うちの面積を考えると、蔵置しているコンテナの数が多いのかなというのはあります。埋まっているのは悪いことではないのですが。ただ、埋まれば埋まるほど、トップリフターの稼働量も増えていくので。

Q. デポの存在を活用して、環境や地域への貢献につなげていこうという考えがあるそうですね。

A. 輸出を主に扱うお客様を増やすことで、もっともっとラウンドユースを活用したいなというのはあります。ラウンドユースが増えれば、やはり環境問題にも貢献できるかなと思うので。

他には、つくばにも色々な業者さんがいるので、デポに落とせるコンテナはたくさんあるはずなんです。なので、色々な運送業者様に回って、「うちで落としませんか」というのも(デポ活用を進める手段の)一つだと思っています。そのような営業をかければ、運送業者全体で環境問題に取り組めるし、それがうちの利益にもつながるとは思うので。

Q. デポで働く人の雰囲気はどうですか?

A. 雰囲気はいいです。すごく良いですね。ムードメーカーがいて、和気あいあいとさせてくれているので、楽しいですね。

Q. 今後のデポビジネスの展望を聞かせてください。

A. 契約している船社さんをもっともっと増やしたいなというのは感じていますね。

(インタビュー実施:2022年4月)